自己破産 法人 (手続き・流れ等)
・会社も自己破産が出来る
・会社を自己破産される場合、その連帯保証人も併せて自己破産するのが一般的
・免責後も労働者は未払い賃金を求償できる。
・支払い責任者から弁済を受けられない場合は「未払賃金立替払制度」というものを利用することができる。
・法人の自己破産
個人と同様、会社(法人)も自己破産を行うことが出来ます。(いわゆる「倒産」)
会社の負債と会社の代表者の負債とは別個のものですので、「会社の自己破産≠会社代表者の自己破産」であることをまず理解してください。
たいていの場合、法人の負債は、その代表者(およびその家族・親族)が連帯保証人になっている場合が多いと思います。
仮に法人の債務が免責された場合、債権者はその連帯保証人たる代表者(およびその家族・親族)に対し、支払いを求めてくることになります。
よって、法人の自己破産手続を行う場合、その連帯保証人も併せて個人の自己破産を行うことが一般的かと思います。
・自己破産の手続・流れ
これは、個人の自己破産と手続・流れともほぼ同様です。
必要な書類とそれに伴う添付資料を添えて申立を行います。
・必要な書類
・商業登記簿謄本
・債権者一覧表(債権者の名前,債務の内容・残額などを記載。)
・資産目録(債務者の財産の内訳を記載します。)
・資金繰りの見込みを明らかにした書面
・上記書類に必要な添付資料
・予納金について
法人の場合債務残高が高額になる場合があると思います。
少額管財事件となるならば、負債額に関係なく一律20万円(東京地方裁判所の場合)ですが、
管財事件となった場合、個人の自己破産と比べ裁判所に納める予納金の額は非常に高くなる場合がほとんどです。
・個人の自己破産と異なる点
法人は「従業員を雇用している」点において大きく個人と異なります。
従業員の未払い賃金および退職金は「労働者債権」と呼ばれ、先取特権が認められています。(他の債権者に優先して弁済が受けられる。)
さらに、この「労働者債権」は「非免責債務」となりますので、法人が免責を受けた後でも、当事者たる従業員は求償権を保持しています。
ただし、全額を弁済してもらえるというわけではありません。
会社が倒産したのですから、通常未払い賃金および退職金は、会社から1円たりとも支払ってもらえないかもしれません。
そのような場合、労働者保護の観点より「未払賃金立替払制度」というものが存在します。
・未払賃金立替払制度
この制度は、全国の労働基準監督署及び独立行政法人労働者健康福祉機構が実施しているものです。
この制度により労働者の未払い賃金の8割が独立行政法人労働者健康福祉機構より立替払いされます。
なお、立て替えられた金額は支払責任者である使用人(一言で言えば「社長」)に求償されます。
・対象となる労働者
倒産について裁判所への申立て等(法律上の倒産の場合)が行われた日の6か月前の日から2年の間に退職した労働者
換言すると、「破産申立をした日の6ヶ月前より退職した労働者」と「破産申立をした日から1年半の間までに退職した労働者」が対象となります。
・請求先と期限
請求先:独立行政法人労働者健康福祉機構
期限:破産手続開始の決定等から2年以内
・支払対象期間とその金額
立替払の対象:労働者が退職した日の6カ月前から立替払請求日の前日までに支払期日が到来している定期賃金と退職手当のうち未払となっ ている、未払賃金の総額が2万円以上もの。(賞与は立替払の対象外)
立替払をする額:未払賃金の額の8割。(ただし、退職時の年齢に応じて88万円~296万円の範囲で上限有)